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石器人がまだダートトライアルに出場するようになる前の話なのだが、当時三菱のA73ランサーGSRという車に乗っていた。
このA73ランサー、エンジンは非力でリヤサスは板バネという、お世辞にも速いとは言えない車だったが、とにかくコントロールがしやすくて、石器人はこの車で後輪駆動車でのダート走行の基礎を覚えたようなものだ。
当時は何の気なしに乗っていたのだが、後に次の車であるRA45セリカに乗るようになってから分かったことがあった。
A73ランサーという車は、石器人にとってはドンピシャのドライビングポジションが取れる車だったのである。
具体的に書くと、石器人がシートポジションを決める場合、ペダル操作しやすい足の伸び具合にの位置までシートをスライドさせてから、その後シートの背もたれ角度を調節してハンドルまでの腕の距離を決めるのだが、このA73ランサー、上記のやり方でシートの位置決めをすると、純正ハンドル(ディープコーンタイプの結構スポーティーな形状だった)のままでも、ベストなポジションを取ることが出来たのだ。当時の大衆車には珍しくチルト機構も付いていたし、クラッチの切れる位置もフロア寄りで、本当に運転しやすいポジションだったと思う。
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やがて次の車であるRA45セリカに乗り換えるのだが、この車、A73ランサーに比べてドライビングポジションがかなり決めにくい車だったのである。
例によってペタル操作しやすい位置までシートをスライドさせてから、背もたれ角度を調節してハンドルまでの腕の距離を決めようとしたのだが、背もたれを一番上まで起こしても、ハンドルが遠いのだ。握れないことはないのだが、ストレートアームになってしまい、ハンドルを回す際に力が入りにくい。
このRA45セリカ、パワステも無い車だったから、腕の角度に余裕を持ったポジションでないと、素早いハンドル操作が出来ないのだ。
仕方なく、セリカ用のステアリングボスと市販の20mm(当時はこれで最長だった)のボススペーサー、及び30mmほどコーン部分が深くなっている社外ハンドルを見つけてきて装着したのだが、それでも最後までA73ランサーの時のようなベストポジションを決めることは出来なかった。
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その後、新車のAE86トレノに乗り換えることになるのだが、この車もまた石器人にとってはポジションが決めにくい車だった。
RA45セリカと同じで、ペダル位置を決めるとハンドルが遠くなってしまうのだ。
当時(30年以上前の話だ…)はまだ今のようなロングボススペーサーという便利な物は無かったので、色々と考えた結果、最初に以下の荒っぽい方法を試してみた。
まず、AE86用の純正ハンドルを部品共販で購入し、AE86に装着されていた純正ハンドルも取り外し、鉄工所に頼んで二つともスプライン部分だけを元残しと先残しでカットしてもらう。そして、元残ししたハンドルに、カットして取り外しておいた先残しのスプライン部分を溶接してくっつけてやるのだ。
文章だと何を言ってるのかわからないと思うので、図で説明してみよう。
純正ハンドル ニコイチの術 |
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「やっぱり、どうせ作るならどんな車種でも使える物の方がいいべさ!」ということで、更に頭を絞った末に考え付いたのが、次の方法だった。
スチール製のステアリングボス(車種は問わない)を二つ買ってきて、それぞれのスプライン部分をカットしてから溶接で合体させて、75mm長のボススペーサーを作ってもらうように鉄工所に依頼したのだ。
これがその30年以上前に作った、特注ボススペーサーの写真。
特注ボススペーサー |
真横から見た写真。
特注ボススペーサー |
2つを合わせて全長が75mmになるように長さを調節してから、カットした部分同士を溶接で連結し、写真でも分かるように、元々あるスリットを利用して、内側の連結用当て板ともスポットで溶接して補強してある。
ボス側の面のボルト用ネジ穴は、汎用ステアリングボスに固定するのにボルトを通過させるためだけのものなので、ドリルで中ぐりして拡げてある。
ステアリング側の結合面は、通常の汎用ステアリングボスと同様、ボルトと六角レンチで、ナルディなどの汎用ステアリングが装着できる。
実はこのスペーサーは2号機で、初代スペーサーは同じ形状の物を鉄工所に頼んで、S45Cという鋼材(丸棒)から旋盤で削りだして作って貰ったのだが、強度を心配し過ぎて各部分の厚みを過剰に設定した所為で非常に重くなり、まるでミニダンベルみたいな出来になってしまったので、人にあげてしまった。なので、残念ながら初代の写真は無い…。
初代ボススペーサーを図に描くとこんな感じになる。
鉄の削り出しで重かった初代ボススペーサー |
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で、この教訓から軽量化について悩んだ挙句に考え付いた「溶接で既存のボスを繋ぎ合わせた2号機ボススペーサー」の方は、AE86以降~現在乗っているネイキッドに至るまでず~っと使ってきたのだが、ハンドルが75mm手前に来るので、大半の車で「ハンドルが遠すぎる」ということはなくなり、運転し易くて非常に具合がよかった。但し、コレを使ってもベストポジションにならず、更に20mmスペーサーを追加しなければならなかった車もあったので、これで「万能」という訳ではない…。
前述のように、AE86以降全車にコレを装着していたのだが、何せ作ってから30年以上経つ代物なので、スペーサー自体はともかく、本体を隠すためのゴム製のカバー(汎用品のゴム製蛇腹)がボロボロに劣化してしまい、溶接部分が剥き出し状態になってしまった。
このカバー、30年以上前に、何か(何だったか忘れた…)を覆うカバーだった物を、ボススペーサー用に流用するために入手した物なので、今となっては入手不可能である。
溶接部分が剥き出しのままでは流石にみっともないので、新たなスペーサーを調達せねばと思い、ネットで色々調べた結果、ロングボススペーサーという便利な物が発売されていることが分かった。
ということで、買ったのがコレ。
100mmアルミロングボススペーサー |
汎用のボスカバーを使って一応隠す努力はしているのだが、何せ長さが100mmもあるので半分程度しかカバーできなかった…。
形状と取り付け方法は特注した2号機スペーサーと基本的には同じであるが、こっちの素材はアルミなので重量は非常に軽い。
このスペーサー、長さは40mm~100mmまで、色々な種類があったのだが、先に書いたように75mmの特注2号機スペーサーを使ってもハンドルが遠い車種もあった為、念には念を入れて100mm長の物を注文したのだ。
このアルミ製ロングボススペーサー、正確な値段はもう失念してしまったが、確か5,000円前後だったように思う。
前述の特注ボススペーサーは、当時鉄工所に払った代金が初代の場合で確か15,000円位で、2号機も10,000円程かかったと記憶しているから、このアルミ製ロングボススペーサーは安い買い物だったと思う。
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現在はネイキッドに装着している訳だが、長さ的には丁度いい感じで、石器人の場合はペダル操作しやすい位置までシートをスライドさせてから、背もたれは一番上から1ノッチ寝かせた位置でベストポジションとなる。
残る課題は、剥き出しになっている下半分の処理だけど、全体を隠せるカバーを探してはいるのだが、中々コレだ!という物が見つからない。こちらもカバーをもう一つ買ってきて、切った貼ったをしなければならないかも…。
(続く) (前回)
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