スバルのレガシィVZタイプRという車で、2リットルNAセダンなのだが、足回りはターボグレードのRSと同じ物(つまり純正品流用の強化サスペンション)を使い、おまけに何故かアンダーガード、デフガード、タンクガードと、ガード類一式が装着済みの車だった。程度は極上で、競技に使った痕跡も無く、何より値段が安かった。
なんでこんな車が存在するのか、そのディーラーの担当者に確認してみたが、生憎スバルではないディーラーだったこともあって、よくわからないらしい。
その後、気になって色々と情報収集するうちに、どうやら当時のラリー車両の排気量区分(記憶が曖昧だが、当時ラリー車両は2リットルで線引きされていたような記憶が…)に合わせて製作された珍しい車らしい、ということがわかった。
それで事情はわかったものの、石器人のやってきたダートラとは排気量区分も違うので(確か当時ダートラは2500ccで線引きされていた憶えが…)、いくら珍しい車だらといったって買っても仕方ないだろう。ということで一度は選択肢から外したのだが、他を探し回っても、やっぱり第一希望である手頃な価格の2リットルターボ4WDは見つからない。
そうこうしている内に、排ガス臭いパルサーの車検がいよいよ迫ってきたので、「まあ、試しに乗ってみるか。どうせ今は競技に出てないし、ダートラの排気量区分と合わなくても別に問題ないだろう」ということで、このレガシィVZタイプRを購入することにした。
で、乗ってみた感想なのだが、とにかく「力が無いな」というのが第一印象だった。2リットルのEJ20エンジンはDOHCで、一応150PSの出力なのだが、車重が1280kgもあるので加速が良くない。、今までターボ車ばっかり乗ってきた所為もあってか、低回転から高回転まで非力に感じられて仕方ない。
「なるほど。これではなんぼラリー車両排気量区分の上限一杯の排気量であっても、ラリーに出る気にはならんよな…」と、ろくに競技に使われずに、程度極上のまま売りに出されていた理由については納得できたのだった。
このレガシィVZタイプR、非力なエンジンにさえ慣れれば、色々と装備も充実してなかなか快適な車だった。ハンドルもクラッチも軽く、また、ゆったりしたドライビングポジションでシートの作りも良かったので、遅いくせに長距離走行は楽だった。
ただ、「非力さ」の他に欠点を挙げるとすれば、シフトレバーが遠かったことだろう。ペダルとハンドルの位置関係はいいのだが、いかんせんシフトレバーが遠い。一速に入れる時は身体を起こして入れてやらなければならなかった。
この問題を解決すべく知り合いの整備工場で軒先を借りて、自分でシフトレバーを外し、万力に挟んでプラハンマーでガンガン叩いて手前の方に曲げてみた。ごつい見た目とは裏腹にあっさり曲がったシフトレバーを再び装着すれば、位置関係はバッチリ。ペストポジションでシフトできるようになった。
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こうして、懸念無く運転できるようになったレガシィを、例の如く「趣味の林道走行」に持ち出してみた。一応リヤにはビスカスLSDが入っているようで(「ビスカスLSD装着車」というシールがデブケースに貼ってあった)、「ある程度の速度」にさえ乗せてしまえば、ブレーキングやフェイント、ステアリング切り込み等のきっかけで姿勢は変えてくれる。
但しやっぱり非力なので、その「ある程度の速度」に乗せるまでに時間がかかるから結構イライラする。その反面、操作系全般は非常に軽かったから、ステアリングにキックバックを受けるような荒れた林道でも、無理なく抑え込んで走れるので、その点では操作系が重かったパルサーより疲労の少ない車だった。VZでこれなら、トルクのあるターボ車のRSだったらさぞや乗りやすいのではないか?とも思ったが、今更RSに買い換えるわけにもいかず、今となっては使い道の無くなったガード類を装着したまま淡々と乗り続けることにしたのだった。
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で、およそ2年が経ち、レガシィの車検が迫ってくると「今度はまたターボに乗りてえ!」と、悪い虫が疼き出し、次なる車を探すことになるのだが…。
(続く) (前回)
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