真っ当なEP85スターレット4WD Sの車検が迫り、次に乗る車を探していたのだが、「軽快に走れる4WDのMT車」という条件で探してみると、これがなかなか見当たらない。
この頃になると、世間に出回っている車はATミッション車が大半になっており、気に入ったMT車を探すのが結構大変になり始めていた。それでも「生涯AT車を自家用車にはしたくない」と頑なに決意している石器人としては、見つかるまで探すしかない。
そんな時、札幌の中古車店で、程度の良いダイハツのL710Vミラバン」を見かけた。軽自動車は候補の対象外だったのだが、「4WD」と「MT」という点は条件に合っている。残りの「軽快に走れる」という点だが、660ccのエンジンで軽快に走るかどうかは別にしても、車重だけは確かに軽そうだ。
EP85の車検期日も待ったなし状態になってきて、他にめぼしい車も見つからなかったこともあり、「試しに乗ってみるか」と決断して、このL710Vミラバンを買うことにしたのである。2005年3月のことだった。
写真はこんなのしか残っていない。
L710Vミラバン |
何より、乗って驚いたのが操作系の軽さである。クラッチは無論のこと、ハンドルも「指一本でも回せるんじゃないか?」と思える程軽いから、運転操作自体は楽だった。
但し、バンなので内装は簡素だ。一応前オーナーがカーステレオは付けていたのだが、乗用タイプのミラと違って内装に防音材を使っていないから、路面やエンジンルームから」ガーガーゴーゴー」と盛大に騒音が進入してくる。その為、ボリュームをかなり上げないとラジオや音楽がよく聴こえないのだ。短距離なら問題無いのだが、この騒音の所為で、長距離走行をすると結構疲れる。
エアコンは一応ついているのだが、NAの660ccエンジンということで、ONにするとガクッと走らなくなる。なので、北海道という地の利を生かし、夏場はエアコンはOFFにして窓を全開にして凌いでいた。但し、窓はパワーウィンドゥではなく手回しのレギュレータータイプだったので、助手席側の窓を開けるのが結構大変だった。
タコメーターは付いていないので、シフトタイミングはエンジンの「悲鳴」(防音材が入っていないから、これが実に良く聴こえるのだ)を目安にしてシフトアップしていた。
シートは結構固く、ヘッドレストが背もたれと一体になった簡素な物で、横方向のサポートも皆無に等しく、最初はどうにも馴染めなかったのだが、慣れというのは恐ろしいもので、ひと月も経たない内に、シートを倒して快適に熟睡することも出来るようになった。普段から板の間に寝ているので、固いシートが丁度良かったのだろう。
他にも助手席のサンバイザーが付いていない!という手抜き(良く言えばコストダウン)などもあったのだが、普段使いでは車体も小さいことから、一車線の道路の交差点で右折車に行方を妨げられても、その左脇を難なくすり抜けられるなど、バイクみたいに走れる車だった。
また、タイヤは標準で12インチ(145/70R12)だったので、銘柄さえ問わなけばオートバックスで、当時4本10,000円以下!で入手できた。
それよりも何よりもこの車で驚いたのが、燃費が抜群に良かったことである。買った時から満タン法で燃費記録を付けていたのだが、夏場は街乗りでもコンスタントに20km/リットル、長距離走行では21~23km/リットル、気温が下がりザクザク路面や深雪等で走行抵抗が大きくなって、燃費面で不利になる冬場でも17~18km/リットルは走ってくれた。確かカタログ燃費が19.8km/リットルだった筈だから、夏場に関してはカタログ燃費以上の数字を出してくれた車だった。
(※「L710V ミラバンの燃費」参照)
こういう車に乗っていてもダートに持ち出したくなるのが石器人の悪い癖で、早速河川敷(この頃になると馴染みの林道は殆ど舗装化されてしまっていた…)に持ち出して走ってみた。エンジンは。確かに以前乗っていたハイゼットバン同様非力なのだが、とにかく車重が軽い。また前述したように、ハンドルもクラッチも軽くて操作しやすいから、絶対速度が遅いこともあって、多少取っ散らかっても危険な状況にはまずならない。バンなので、荷物を積んでも大丈夫なように足回りは硬いバネが使われており、ラリー用のバネとは違うがそれなりに機敏に走れる足だった。
但し、センターデフについては、ギア機構の代わりに流体カップリングで前後の差動制御をするという手抜き方式(よく言えばシンプルな方式)なので、絵に描いたようなスタンバイ4WDの挙動だった。雪道でもそうなのだが、ダートでも前輪がある程度空転してからでないと、後輪に駆動力が伝わらない。前後オープンデフでエンジンが非力なこともあり、最初からパワーで後輪を流すのは難しく、結局ある程度スピードに乗せてから、ブレーキングや慣性を使ったきっかけで姿勢を変えてからパワーで後輪を流す(姿勢を変えた後にやっと後輪に駆動が伝わり始めるので)、という方法で走るしかなかった。まあ、元々そんな走りをするような車ではないのだが。
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この車は途中で1回車検を取り、かなり色々な場所に出かけた。
芽室町にて |
中標津町養老牛の野湯「からまつの湯」や、標津町の野湯「川北温泉」、そして、今は土砂崩れで車では行けなくなってしまった道東の秘湯「薫別温泉」などにも行ったりしたのだが、購入から3年が経過し、走行距離も195,000kmに達する頃になると、クラッチをはじめ、あちこちガタが目立つようになってきた。
そして、再度車検の時期が近づいてきたこともあって、また別の車を探すことになるのだった。